痔核(いぼ痔)
痔核は痔の中で男女ともに最も多い疾患です。排便時の過度ないきみにより、肛門周囲の血管がうっ血し、それによって痔核が発生するとされています。歯状線を境に、「内痔核」と「外痔核」の2つに分かれます。外痔核は痛みを伴いますが、内痔核は普通痛みがないため排便時の出血や痔核が肛門から脱出することで、初めて気づくことが多いです。
痔核の治療には薬物療法と手術療法、注射療法があります。
当院では、注射療法(内痔核硬化療法)を日帰りで行っています。
切れ痔(裂孔)
女性に多く見られます。歯状線より下の肛門上皮(皮膚部分)にできた傷のことで、排便時・排便後の痛みと、ペーパーに付着する程度の少量の出血があります。
血栓性外痔核
肛門部の血行が悪くなり、突然肛門周囲に血栓(血の塊の硬いしこり)ができたものです。急に腫れて激しく痛み、時には外痔核の表面が傷ついて出血することもあります。薬物療法で改善します。
肛門周囲の膿瘍
歯状線のくぼみから細菌(大腸菌など)が入り込み肛門周囲に膿がたまったもので、肛門周囲が腫れて激しく痛み、発熱(38~39℃)することがあります。時には皮膚の表面から膿が自然にでてくることがあります。痔瘻の前段階となり、治療は膿を出す手術を行います。
痔瘻(穴痔)
男性に多く見られます。肛門周囲膿瘍の膿がでた後に、膿のトンネルができたものです。トンネルの位置、深さ、向きなどにより緻密な手術を行う必要があります。痔瘻はクローン病などの併発がないかを確認することも重要になりますので、内視鏡検査が不可欠です。
肛門周囲皮膚炎・肛門そう痒症
肛門の周囲に起こる皮膚炎です。炎症によるかゆみ、痛みが主な症状です。主な原因には、アレルギー性疾患、カンジダなどの真菌症、痔核などがあります。また、神経質に拭く、ウオシュレットの使用などをきっかけに発症しているケースもあります。
内服薬や軟膏などによる治療を行います。真菌感染を疑う場合は皮膚科・婦人科を紹介すこともあります。