アニサキス症とは
アニサキス症は、アニサキス属線虫の幼虫が生魚を介して人体に侵入し、胃や腸の粘膜に穿入することで発症する寄生虫症です。代表的な症状は摂食後数時間以内に出現する急激な上腹部痛や悪心・嘔吐であり、臨床現場において比較的頻度の高い救急疾患の一つです。
症例写真のご紹介
当院(大阪市梅田・おおたきく子クリニック)で経験した症例の一部をご紹介します。下の写真は、胃内に穿入したアニサキス虫体を内視鏡下に摘出している様子です。
「胃粘膜に穿入していたアニサキス虫体を、内視鏡鉗子にて把持・摘出している所見」
本症例では、摘出後に患者様の疼痛は軽減し、症状改善が得られました。このように、アニサキス症の治療において 内視鏡的摘出は診断的かつ治療的手技として極めて有効です。
治療の基本原則
アニサキス症に対しては、薬物療法単独では効果が限定的であり、唯一の根治的治療は虫体の摘出です。特に胃内アニサキス症では、上部消化管内視鏡を用いた摘出により即時の症状緩和が期待できます。一方、小腸に侵入した場合は診断・治療ともに困難であり、保存的加療や症状経過観察が必要となることもあります。
診断のポイント
アニサキス症を疑う臨床状況は以下の通りです。
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生魚摂取後、数時間以内に発症する強い上腹部痛
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胃潰瘍や胆石症と鑑別が困難な急性腹症様の症状
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血液検査で白血球増多や好酸球増多を認めることもあるが、急性期には目立たない場合も多い
確定診断には内視鏡的観察が不可欠であり、治療と同時に診断が可能です。
当院の対応について
当院では消化器内視鏡専門医が在籍しており、急性腹痛で来院された患者様に対して迅速に内視鏡検査を行う体制を整えています。アニサキス症の発症は決して稀ではありません。地域住民の皆様に安心して受診いただけるよう、診断から治療まで一貫した対応を心がけています。
まとめ
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アニサキス症は、生魚摂取後に発症する急性腹症の重要な鑑別疾患です。
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胃内アニサキス症に対する内視鏡的虫体摘出は迅速かつ根治的な治療法です。
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強い胃痛を自覚した場合は、早期に内視鏡検査可能な医療機関への受診が推奨されます。
当院では、苦痛の少ない内視鏡検査を行い、患者様に安心して治療を受けていただけるよう努めております。
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