亜急性甲状腺炎
亜急性甲状腺炎
亜急性甲状腺炎は、甲状腺が炎症を起こす疾患で、一般的にはウイルス感染や免疫系の異常が関与しています。この病気は急性に発症し、しばしば発熱や首の痛みを伴うことが特徴です。亜急性甲状腺炎は、急性甲状腺炎や慢性甲状腺炎と異なり、一時的に甲状腺の機能が異常になることがありますが、適切な治療で回復することが可能です。
亜急性甲状腺炎の原因は、ウイルスや免疫系の異常に関連しています。以下に主要な原因を挙げます。
亜急性甲状腺炎は、ウイルス感染によって引き起こされることが多いです。特に、風邪ウイルス(コクサッキーウイルスやエンテロウイルスなど)や麻疹ウイルス、インフルエンザウイルスが関与することがあります。これらのウイルスが甲状腺に炎症を引き起こし、急性の症状を引き起こします。
亜急性甲状腺炎は、自己免疫疾患が原因で起こることもあります。免疫系が異常に反応し、甲状腺の組織を攻撃することで、炎症が生じます。
亜急性甲状腺炎は、30〜50歳の成人に多く見られ、特に女性に多いことが特徴です。また、甲状腺に関する他の疾患(例:橋本病)を持つ人は、亜急性甲状腺炎を発症しやすい傾向があります。
亜急性甲状腺炎の症状は、甲状腺の炎症による体調不良から始まり、次第に様々な症状が現れます。
亜急性甲状腺炎の最も特徴的な症状は、首の痛みです。甲状腺の腫れや炎症により、首に不快感や圧痛が生じます。この痛みは、特に触れると強く感じることが多く、患者によっては声がかすれることもあります。
ウイルス感染によるものが多いため、発熱や倦怠感が見られます。体温が上昇し、全身のだるさを感じることがあります。
亜急性甲状腺炎では、甲状腺ホルモンの分泌が一時的に変動します。炎症初期には**甲状腺機能亢進症(バセドウ病に似た症状)**が現れることがあり、その後、甲状腺機能低下症に移行することがあります。
症状としては、喉の痛みや飲み込みづらさ、不眠症、動悸なども報告されています。また、特に発症初期には、喉の痛みと共に声がかすれることもあります。
亜急性甲状腺炎は、症状だけで診断するのが難しい場合があります。診断には、血液検査や画像検査が重要です。
TSH(甲状腺刺激ホルモン)の測定を行い、FT3やFT4(甲状腺ホルモン)のレベルも確認します。亜急性甲状腺炎では、炎症の初期には甲状腺ホルモンが高くなることがあり、その後低下することがあります。加えて、C反応性蛋白(CRP)など、炎症マーカーが上昇することがあります。
甲状腺の腫れや炎症の程度を確認するために、甲状腺超音波検査を行うことがあります。亜急性甲状腺炎では、甲状腺の一部に炎症が見られ、腫れや痛みを伴うことがあります。
一部の患者には、甲状腺シンチグラフィー(放射線を使った検査)を行い、甲状腺の機能を調べます。亜急性甲状腺炎では、甲状腺の機能が一時的に亢進するため、シンチグラムで異常が確認されることがあります。