胃ポリープは、胃の内側の粘膜から突き出した小さな腫瘍のことを指します。多くの胃ポリープは良性であり、特に症状を引き起こさないことが一般的です。しかし、胃ポリープの中には悪性化する可能性があるものもあり、定期的な検査や適切な治療が重要です。

胃ポリープにはいくつかの種類があり、それぞれが異なる原因やリスクを持っています。胃ポリープが発見された場合、早期に適切な対応をすることが、将来的な健康リスクを減少させるために必要です。

胃ポリープはその形態や原因により、いくつかの種類に分類されます。主な種類としては以下のものがあります。

1. 過形成ポリープ

過形成ポリープは、胃の粘膜が異常に増殖することによって発生するもので、最も一般的なタイプの胃ポリープです。このタイプのポリープは通常良性であり、癌に進展するリスクは低いとされています。しかし、ポリープのサイズが大きくなると、症状を引き起こすことがあります。

2. 腺腫（腺ポリープ）

腺腫は、腺組織から発生するポリープで、過形成ポリープに比べて癌化するリスクが高いとされています。腺腫が大きくなると、定期的な検査と監視が必要です。腺腫が進行すると、胃がんに繋がる可能性があるため、早期発見と治療が重要です。

3. 炎症性ポリープ

炎症性ポリープは、胃の粘膜に炎症が起こることによって発生します。これらは一般的に胃炎や胃潰瘍の患者に見られ、感染や薬剤（特に非ステロイド性抗炎症薬：NSAIDs）による影響が関係していることがあります。炎症性ポリープは良性であり、治療によって症状が改善されることが多いです。

4. ガストリン産生腫瘍

ガストリン産生腫瘍は、胃の内分泌細胞でガストリンというホルモンを過剰に分泌することによって生じるポリープです。これは非常に稀なタイプですが、悪性になる可能性があるため、早期に診断し、治療することが必要です。

胃ポリープの原因は完全には解明されていませんが、いくつかの要因が関与していると考えられています。

1. 遺伝的要因

胃ポリープは、家族に同様の症例がある場合に発生することがあります。特に、ガストリン産生腫瘍などは遺伝的な要因が関係していることが分かっています。

2. 食生活

高脂肪、高カロリーな食事が胃ポリープの発生に関与しているとする研究もあります。特に加工肉や赤身肉の摂取が多い場合、ポリープのリスクが高くなる可能性が指摘されています。

3. 薬剤使用

非ステロイド性抗炎症薬（NSAIDs）やプロトンポンプインヒビター（PPI）など、胃酸分泌を抑制する薬剤を長期的に使用していると、胃の粘膜に変化が生じ、ポリープが発生することがあります。PPIは胃酸を抑制するため、胃内でガストリンの分泌が増え、その結果としてポリープが形成されることがあります。

4. 慢性胃炎

慢性胃炎、特にピロリ菌による感染がある場合、胃の粘膜に慢性的な炎症が続き、ポリープが発生するリスクが高くなります。ピロリ菌による胃炎が治療されていない場合、胃がんのリスクも増加するため、胃ポリープも重要な指標となります。

多くの胃ポリープは無症状ですが、サイズが大きくなると以下のような症状が現れることがあります。

1. 胃の不快感

ポリープが大きくなると、胃の内部に圧力がかかり、重い感じや膨満感を引き起こすことがあります。これにより、食後に不快感を感じることが増えることがあります。

2. 腹痛

胃ポリープが炎症を引き起こすと、痛みを伴うことがあります。特に食後や空腹時に痛みを感じることがあります。

3. 吐き気や嘔吐

胃の粘膜にポリープができることにより、胃の働きが悪くなり、吐き気や嘔吐を伴うことがあります。

4. 出血

胃ポリープが破裂すると、出血を引き起こすことがあります。出血した場合、便が黒くなったり、血液が含まれることがあります。このような症状が現れた場合は、直ちに医師に相談する必要があります。

胃ポリープの診断は、以下の方法で行われます。

内視鏡検査（胃カメラ）

胃ポリープの診断には、最も一般的で効果的な方法が内視鏡検査（胃カメラ）です。胃の中を直接観察することができ、ポリープの大きさ、形状、数などを確認することができます。

超音波検査

ポリープが胃の壁に近い場合、超音波を使って確認することがあります。この検査でポリープのサイズや位置を把握することができます。

CTスキャン

特にポリープが大きい場合や悪性が疑われる場合、CTスキャンを行うことがあります。CTスキャンにより、ポリープが胃以外の臓器に広がっていないかを確認できます。