十二指腸潰瘍
十二指腸潰瘍
十二指腸潰瘍は、十二指腸の内壁にできる傷や潰瘍のことを指します。十二指腸は、胃から食べ物を受け取り、消化の一部を行う重要な器官です。潰瘍は、胃酸や消化液が過剰に分泌されることが主な原因で、十二指腸の粘膜が傷つき、潰瘍ができる現象です。この病気は放置すると重症化する可能性があるため、早期に適切な治療を受けることが大切です。
十二指腸潰瘍の症状は、消化不良に関連した症状が多く、食後や空腹時に痛みが強くなることが特徴です。以下に代表的な症状を紹介します。
十二指腸潰瘍で最も多く見られる症状が腹痛です。特に食後や空腹時に上腹部に鈍痛や焼けるような痛みを感じることがあります。食後数時間で痛みが強くなり、空腹時に痛みが軽減することが特徴的です。
胃酸が過剰に分泌され、逆流することがあります。これが食道に流れ込むと、胸焼けや酸っぱいゲップを感じることがあります。特に横になったときや食後に強く感じることが多いです。
痛みや不快感が続くため、食欲が低下することがあります。長期間続くと、体重減少を引き起こすこともあります。痛みが強いと、食事を避ける傾向があり、これが体調をさらに悪化させる原因になります。
消化不良や胃酸の過剰分泌が原因で、吐き気や嘔吐が現れることがあります。食後にこれらの症状が現れることが多く、消化不良の感覚が続くことがあります。
潰瘍が出血を引き起こすと、便が黒くなったり、血が混じったりすることがあります。出血が続くと、貧血を引き起こすことがあり、これにより顔色が悪くなったり、倦怠感を感じることがあります。
十二指腸潰瘍の原因は、胃酸の過剰分泌やピロリ菌の感染が大きな要因とされています。しかし、これ以外にもさまざまな要因が関与しており、生活習慣や薬剤の使用が原因となることもあります。
ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)は、十二指腸潰瘍の主な原因とされている細菌です。ピロリ菌は、胃や十二指腸の粘膜に感染し、そこで炎症を引き起こします。炎症が進行すると、胃酸が正常に分泌されなくなり、潰瘍が発生します。ピロリ菌が関与している場合、除菌治療を行うことで潰瘍の治癒が促進されます。
NSAIDs(例:アスピリン、イブプロフェンなど)の使用が原因で、胃や十二指腸の粘膜が傷つけられることがあります。これらの薬は、痛みを抑えるために使用されますが、長期間使用すると粘膜が傷つき、潰瘍ができることがあります。NSAIDsを使用している場合、潰瘍の予防として胃薬を併用することが勧められます。
過食やストレス、喫煙、アルコールの摂取などが胃酸の分泌を促進し、潰瘍の原因となります。胃酸が過剰に分泌されると、十二指腸の粘膜を傷つけ、潰瘍が形成されることがあります。
喫煙は胃酸の分泌を促進するだけでなく、胃や十二指腸の粘膜に直接ダメージを与えるため、潰瘍の発症を助長します。また、喫煙者は非喫煙者に比べて治癒が遅れることがあるため、治療中の禁煙が推奨されます。
遺伝的な要因が関与することもあります。家族に十二指腸潰瘍の患者が多い場合、発症リスクが高くなることがあります。遺伝的要因は、胃腸の粘膜の強さや胃酸分泌の性質に影響を与える可能性があります。
十二指腸潰瘍が疑われる場合、いくつかの検査を行い、確定診断を下します。
内視鏡検査は、十二指腸の内部を直接観察できる最も効果的な検査方法です。内視鏡を使用して、潰瘍の大きさや位置、出血の有無を確認します。検査は局所麻酔で行われることが一般的です。
ピロリ菌感染が疑われる場合、血液検査や呼気テスト、便検査を行い、感染の有無を確認します。ピロリ菌が原因である場合は、除菌治療が必要です。
バリウムを使ったX線検査は、潰瘍の有無やその範囲を調べることができます。バリウムを飲んで撮影し、十二指腸の形状を確認します。
血液検査を行い、貧血や出血の兆候を確認することがあります。特に、潰瘍が出血を引き起こしている場合、貧血が見られることがあります。