大腸カメラ検査
大腸カメラ検査
大腸内視鏡検査とは、一般に「大腸カメラ」と呼ばれている検査のことで、肛門から内視鏡を挿入し、直腸から盲腸までの全大腸(一部小腸)を調べて、炎症、大腸ポリープ大腸がんの有無などを診断することができます。検査の際には必要に応じて、大腸ポリープを切除したり、組織の一部を採取(生検)します。内視鏡で行う治療には内視鏡的ポリープ切除術(ポリペクトミー)や内視鏡的粘膜切除術(EMR)、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)などがあります。
近年大腸癌は増えています。現在、女性の癌死亡原因の第1位は大腸癌です。男性では第3位です。しかし、早期に発見できれば大腸癌は、ほぼ100%完治できます。大腸癌の早期発見には、大腸内視鏡検査は不可欠です。大腸がんの発症には加齢、飲酒、喫煙、食の欧米化、運動不足といった生活習慣が大きく関わっているとされていますが、ほとんどは良性の大腸ポリープから発生します。そのため、良性のポリープの時点で切除することが大腸がんの予防につながります。
検診で便潜血反応が陽性であっても、排便時に出血するような自覚症状があっても、大腸内視鏡検査を受けようと決心できない方が多いのも事実です。それは、大腸の内視鏡検査は痛い・苦しいというイメージが強いからだと思います。しかし、現在では以前より細くて高性能な内視鏡が開発され、内視鏡医の技術の進歩により「ラク」で「痛みが少ない」検査ができるようになりました。
「大腸内視鏡は痛くて、つらい、こわい」と思っている方に、安心して検査を受けていただけることが当院の目標です。1人でも多くの方に定期的に大腸内視鏡検査を受けていただき、地域の方々の大腸疾患の早期発見と治療に貢献したいと考えています。健康診断で便潜血反応陽性になった方、あるいは日ごろから便や腸などに不安がある方は、お気軽にご相談ください。
当院では、患者さんにとってできる限り負担の少ない大腸内視鏡検査を提供しています。以下に、当院の大腸カメラ検査の主な強みをご紹介します。
当院では、大腸内視鏡検査が「痛い」「つらい」というイメージを払拭し、安心して受けていただける環境づくりに努めています。経験豊富な内視鏡専門医・指導医が、患者様一人ひとりの状態に合わせた丁寧な診療を行い、リラックスした状態で検査を受けていただけるよう配慮しています。
当院では、大腸内視鏡検査に伴う苦痛や痛みを軽減するために、鎮静剤および鎮痛剤を適切に使用することを重視しています。これにより、患者様はリラックスした状態で検査を受けられ、検査中の不快感を最小限に抑えることができます。
当院では、院長である女性医師が大腸内視鏡検査を担当いたします。患者様にとって、大腸内視鏡検査は身体的・精神的に負担を感じやすい検査の一つです。当院では、その不安を少しでも和らげ、安心して検査を受けていただけるよう、女性医師ならではのきめ細やかな配慮を心がけています。
検査に際しては、患者様の体調やご希望に合わせた丁寧な説明を行い、リラックスしていただけるよう努めています。また、鎮静剤や鎮痛剤の使用による無痛検査にも対応し、できる限り苦痛や不快感を軽減します。
当院では、大腸内視鏡検査中に発見されたポリープに対して、日帰りでの切除にも対応しています。ポリープは放置すると大腸がんに進行するリスクがあるため、早期発見・早期治療が大切です。当院では、内視鏡専門医が検査から切除まで一貫して行い、安全かつ迅速に治療を進めます。
当院では、忙しい平日に検査の時間を確保するのが難しい方のために、土曜日にも大腸内視鏡検査を実施しております。お仕事や家事、育児などでお忙しい方も、週末を利用して検査を受けていただけます。
大腸内視鏡検査は、早期の異常発見や大腸がん予防のために非常に重要です。「時間が取れず検査を後回しにしている」という方も、土曜日の検査をぜひご利用ください。
当院では、胃カメラ(上部内視鏡)と大腸カメラ(下部内視鏡)を同日に受けられる検査にも対応しています。別々に日程を分ける必要がないため、時間の節約ができるだけでなく、準備や身体的な負担を最小限に抑えられます。
当院では、大腸内視鏡検査前の腸内洗浄を院内でサポートしております。ご自宅での下剤服用に不安がある方や、きちんと腸内がきれいになっているか心配な方も、医師やスタッフのサポートを受けながら安心して準備を進めることができます。
当院では、大腸内視鏡検査の準備に必要な下剤について、患者様一人ひとりの体調やご希望に合わせた個別対応を行っています。ご自宅での服用に不安を感じる方や、腸内洗浄に最適な下剤を選びたい方にも、安心してご利用いただけるよう、さまざまな選択肢をご用意しています。
当院では、午前中に大腸内視鏡検査を実施しており、忙しい日常生活に合わせた柔軟な対応が可能です。特にお仕事や育児、その他の予定で時間が限られている方にとって、午前中の検査は非常に便利です。
当院では、最新の内視鏡システムであるオリンパス社の「EVIS X1」を導入し、より高精度で安全な検査を提供しています。このシステムは、従来の内視鏡検査に比べ、視覚的な精度が大幅に向上しており、微細な病変や異常をより鮮明に映し出すことができます。
当院の下剤内服室は個室になっているため、下剤を飲むのもその後の時間も人に見られることなくゆっくりと過ごせます。
腸検査用の下剤(腸管洗浄液)にはいくつか種類があります。
当院ではモビプレップ、ピコプレップ、ビジクリア、の3銘柄の腸管洗浄液の中から選んでいただきます。
飲む場所も院内かご自宅かを選べます。
モビプレップは腸管洗浄力が高く、きれいになるまでの時間も短いので、特に御希望のない場合はモビプレップをおすすめしています。
それぞれの腸管洗浄液の特徴は以下の通りです。
モビプレップ(ポリエチレングリコール系) | 梅ジュースのような味で、少し塩味が濃いです。 |
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ビジクリア(リン酸ナトリウム系) | 50錠の錠剤を15分おきに5錠ずつ飲んでいき、その合間に水・お茶を約2時間かけて計2リッター飲みます。これは、飲み方が難しいのでクリニックで飲んでいただきます。 |
ピコプレップ(ピコスルファートナトリウム水和物) | オレンジジュース味。前日の夕方にピコプレップ150mlと透明な飲み物(お茶・スポーツドリンク・透明なリンゴジュース・コンソメスープなど)を1250ml以上飲んでいただきます。翌日、クリニックでピコプレップ150mlと透明な飲み物を750ml飲んでいただきます。下剤の量が少なく飲みやすいので、モビプレップが全量飲めなかった方におすすめしています。便秘の方にはおすすめしていません。 |
当院では、大腸内視鏡検査中に使用するガスとして、二酸化炭素(CO2)を導入しています。これにより、従来の空気を使用した場合と比べて、おなかの張りや膨満感が大幅に軽減され、検査後の不快感や痛みを抑えることができます。
大腸内視鏡検査は、腸管洗浄液(下剤)によって腸内をきれいにする必要があります。この下剤による前処置が、大腸内視鏡が大変といわれる要因の一つにもなっています。当院では少しでも楽な環境、楽な方法で前処置を行っていただけるように工夫をしています。
一般的に腸管洗浄は、検査当日に2リットルもの下剤を服用していただく必要がありますが、当院では、半分程度で高い洗浄効果が得られる新しい下剤(モビプレップ)を採用しています。その分、飲む量に対する負担が軽減します。また、下剤を飲むことが苦手な方には、錠剤(ビジクリア)もあります(錠剤50錠、水またはお茶2リットルの内服が必要になります)。この他にも飲みやすく味を工夫した下剤などもあり、患者さん一人ひとりに合わせて腸内洗浄液を選ぶことが可能です。
前処置の下剤を服用いただく場所につきましては、患者さんのご希望や環境に合わせて、在宅でも、ご来院しての服用でも、どちらにも対応いたします。
鎮静剤(静脈麻酔)にて眠ったまま検査を受けることも可能です。鎮静剤を用いた内視鏡検査の大きな目的は「不安」や「苦痛」の軽減です。大腸内視鏡検査では腸の中に空気を入れるためお腹の張りや吐き気などで苦しんでしまう方もいらっしゃいますが、鎮静剤を使用することで、そのような症状が緩和できます。鎮静の程度を調整することも可能で、検査に対して不安や恐怖心が強い方は「ぐっすりと眠った状態」に、検査画面を一緒に見たいという方は「苦痛を取り除く程度の状態」に、というように患者さんの状態やご希望に合わせて検査を行うことができます。
鎮静剤の使用は検査を実施する内視鏡医にとってもメリットがあります。大腸内視鏡検査では、緊張してお腹に力が入ることで痛みが生じやすく、蠕動運動で腸も動いてしまうため、内視鏡が奥に進みにくくなることがあります。鎮静剤の使用により、身体の力が抜けリラックスした状態になることで、内視鏡の挿入や大腸の観察自体をスムーズに行うことができるため、検査の質の向上につながります。
検査終了後は、鎮静剤の効果が切れるまでリカバリールームでしばらく休憩していただくため、安心してご帰宅できます(鎮静剤を使用した場合、自動車、バイク、自転車などの運転はできませんのでご注意ください)。
大腸内視鏡検査は技術(手技)の差が出やすい検査といえます。大腸の粘膜には痛覚がなく、内視鏡が入るだけでは痛みを感じません。しかし内視鏡挿入時に、無理に押したりすると、腸管が引っぱられることで周辺の筋肉などの神経が刺激を受け、痛みが生じます。当院では、腸管にとってストレスが少ない、腸を押さずそのままの形を維持しながら挿入する軸保持短縮法にて検査を行っています。これにより検査時の苦痛を最小限に抑えることが期待できます。
大腸内視鏡検査では、通常、ペタンとした状態にある大腸内を、病変の見落としがないように空気を送りいっぱいに広げて隅々まで観察します。その際の空気がお腹の張り感や痛み、吐き気などの原因になることがあります。いつまでも腸内に空気が残ってしまい検査後にそうした症状が現れることもあります。
当院では、このような検査後のお腹の張りによる苦痛を軽減するため、空気に比べて腸管内で速やかに吸収される(空気のおよそ200倍)二酸化炭酸ガスを用いて検査を行っています。これにより検査後の苦痛を大幅に軽減することが可能となります。
※炭酸ガスは体内に吸収されても身体に害を及ぼすものではありません
検査中に大腸がんのもととなるポリープを発見した場合、精度の高い診断を行いながら必要に応じてその場で切除します。腫瘍性ポリープには良性の大腸腺腫と悪性の大腸がんがあり、大腸腺腫は大きくなるほどがん化率が高まると考えられています。つまり、発がんリスクのあるポリープを早めに切除することが大腸がんの予防につながります。また、大きければそれだけ切除が難しくなるため、10ミリ以下の小さいうちに切除したほうが安全性も確保できます。20ミリを超える大きなポリープや切除後の出血リスクが高い場合は、連携先の病院やご希望の病院に紹介させていただき、入院でのポリープ切除を行うこともあります。
大腸ポリープを検査時にその場で切除することで、何度も下剤を飲んだり、検査を受けたりする必要がなくなり、患者さんの負担も軽減します。
使用する内視鏡や処置具は、日本消化器内視鏡学会が定めているガイドラインに準拠した消毒衛生管理を実施しておりますので、安心して検査を受けていただけます。
大腸内視鏡検査では、以下のような疾患や症状を早期に発見することができます。
大腸ポリープの多くは無症状ですが、健康診断での便潜血反応で陽性になることが少なくありません。発症原因としては、遺伝的なものが多く、そのほかに食生活の欧米化なども考えられています。大腸ポリープの全てが大腸がんに移行するわけではありませんが、そのリスクを診断するために大腸内視鏡検査を行う必要があります。定期的に大腸内視鏡検査を行うことでポリープの早期発見が可能となり、低侵襲な内視鏡治療が選択できます。
平均寿命の高齢化に加え、食生活の欧米化など様々な要因もあり、大腸がんによる死亡者数は増加傾向にあります。大腸がんは症状を自覚することが難しく、気付かないうちに進行します。症状が出てから診断に至った場合には、内視鏡治療などの低侵襲な治療が選択できないことがあります。下痢や便秘などの排便異常、血便がみられる方や便潜血反応陽性の際は、定期的な大腸内視鏡検査をお勧めします。
潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜を中心にびらんや潰瘍を形成します。症状としては下痢や血便、腹痛、しぶり腹(便意があっても便が出ない、出ても少量)、重症化すると発熱、体重減少、貧血などがみられることもあります。難病に指定されており明確な原因は分かっていませんが、適切な治療により症状を抑制できれば、健康な人とほとんど変わらない日常生活を送ることが可能です。定期的な大腸内視鏡検査が必要となります。
遺伝的要素も考えられていますが、明確な原因は不明です。全身のあらゆる消化管に、浮腫や潰瘍を形成し症状を引き起こします。腹痛と下痢が高頻度にみられますが、発熱、栄養障害、血便、肛門病変(痔ろうなど)が現れることもあります。難病に指定されていますが、適切な治療で症状を抑制できれば健康な人と変わらない日常生活を送ることが可能です。大腸内視鏡やCT検査などにより、病状の進行状況を判定しながら治療を行います。
当院での大腸内視鏡検査は、以下のような流れで進められます。
検査予約
大腸内視鏡検査をご希望の場合、事前に外来を受診していただき、診察ののちに検査日を決定します。
検査前日の準備
食事は検査食を3食(朝・昼・夕)食べていただきます。夕食は21時までに済ませてください。水は夜間も摂取可能です。20時頃と22時頃に軽い下剤を飲んでいただきます。。
検査当日
朝食は何も食べないようにしてください。常用されているお薬は検査予約時の指示通りに服用してください。水は摂取可能です。当院で下剤を内服の方は、当日9時30分にクリニックにおいで下さい。来院後、1~1.5リットルの下剤を約2時間かけて飲みます。ご自宅で内服の場合は、下剤を飲んで排便が透明な液体になったら、ご予約の時間にクリニックにおいで下さい。
検査
検査着に着替え、ストレッチャーに横になっていただきます。(金属類は外してください)鎮静剤を注射しリラックスした状態で検査を受けていただきます(鎮静剤を希望されない場合、注射はありません)。検査時間は、15~30分程度です。当院では大腸内視鏡検査の際にポリープが見つかった場合は、ポリープをその場で切除します。(日帰り治療)
検査後
検査終了後はリカバリールームで休憩いただき、その後、医師より検査結果について説明があります(鎮静剤を使用しない場合はリカバリールームでの休憩は必要ありません)鎮静剤を使用した場合、車等の運転はできませんのでご注意ください。
1割負担 | 3割負担 | |
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大腸内視鏡検査(観察のみ) | 約2500円 | 約7500円 |
大腸内視鏡検査+生検※ | 約4000円 | 約11000円 |
ポリープ切除(3か所) | 約8000~約11000円 | 約24000~30000円 |
※生検とは病変の組織を一部採取して、顕微鏡で確認する検査です。 ※上記費用に診察料、薬剤料などが別途かかります。
大腸カメラ検査は一般的に、検査中に多少の不快感や違和感、圧迫感を感じることがありますが、痛みを感じることは少ないです。多くの場合、軽い鎮静剤が投与されるため、リラックスした状態で検査を受けることができます。検査後には腹部に膨満感や不快感が残ることがありますが、通常は数時間以内に解消します。
検査前には腸内を清掃するために、特定の下剤を使用します。検査前日は検査食を食べていただきます。具体的な準備方法については、担当医から指示がありますので、その指示に従って準備を行ってください。
検査結果は通常、10日前後数で報告されます。検査中に異常が発見された場合には、担当医がその場で簡単な説明を行いますが、詳細な結果や治療計画については後日、医師から説明があります。
大腸がんのリスクが高いとされる40歳以上の方は、定期的に大腸カメラ検査を受けることが推奨されます。具体的な頻度は、個々の健康状態や家族歴によって異なりますが、一般的には5年ごとに検査を受けることが多いです。症状がある場合やポリープが見つかった場合は、医師の指示に従い、さらに頻繁に検査を受けることがあります。
検査後は、腸内に残っている空気によって腹部に膨満感や不快感を感じることがありますが、ポリープを切除していない場合は、帰宅時には食事を再開することができます。具体的な食事の再開については、医師の指示に従ってください。
大腸カメラ検査は一般的に安全な検査ですが、まれに以下のようなリスクがあります。
内視鏡挿入時の出血や穿孔:挿入中にわずかな出血や穿孔のリスクがありますが、これは非常に稀です。
検査のリスクについては、事前に医師と相談し、十分な説明を受けておくことが大切です。
大腸カメラ検査後は、特に大きなケアは必要ありませんが、検査後は軽い運動や安静を心がけることが推奨されます。また、検査中にポリープが除去された場合などは、特別な指示があるかもしれませんので、医師の指示に従ってください。異常を感じる場合は、早めに医師に相談することが大切です。
大腸カメラ検査自体は、通常15分から30分程度で完了します。ただし、検査前の準備や検査後の安静、結果説明などを含めると、全体で1〜2時間程度かかることがあります。検査当日は、余裕を持って時間を確保しておくと良いでしょう。
妊娠中の大腸カメラ検査は、一般的には避けることが推奨されます。妊娠中は特に慎重に対応する必要があり、必要性が高い場合に限り、リスクを十分に考慮した上で実施されることがあります。妊娠中の検査については、産婦人科医と消化器内科医の両方の意見を聞くことが重要です。
検査前には飲酒を避けることが推奨されます。アルコールは腸内の清掃を妨げる可能性があり、検査の精度に影響を与えることがあります。検査前の数日はアルコールを控え、医師の指示に従って準備を進めることが大切です。検査後の食事制限はありません。