バレット食道
バレット食道
バレット食道とは、胃酸の逆流が長期間にわたり繰り返されることによって、食道の内壁に異常が生じ、通常の食道の粘膜が胃の粘膜に似た組織に変化してしまう病気です。この状態は、逆流性食道炎(GERD)が長期間続くことによって引き起こされることが多いとされています。バレット食道は、進行すると食道がんのリスクを高めるため、早期発見と適切な管理が非常に重要です。
バレット食道は、主に逆流性食道炎が長期間続くことが原因で発症します。逆流性食道炎は、胃酸や消化酵素が食道に逆流し、食道内の粘膜が炎症を起こす状態です。炎症が繰り返されることで、食道の粘膜が変化し、最終的にバレット食道に進行することがあります。
逆流性食道炎は、胃の内容物が食道に逆流し、食道の粘膜が炎症を起こす病気です。胃酸や消化酵素が食道に逆流すると、食道粘膜が損傷し、長期的に逆流が続くことでバレット食道に進行します。
食道と胃の間にある食道括約筋が正常に機能しない場合、胃酸や食べ物が食道に逆流しやすくなります。括約筋が十分に閉じないことで、胃酸が逆流し、食道に炎症を引き起こす原因となります。
肥満は、逆流性食道炎を引き起こすリスクを高める要因です。特に、腹部に脂肪がつくことにより、腹圧が上昇し、胃酸が食道に逆流しやすくなります。この状態が長期間続くと、バレット食道を引き起こすことがあります。
喫煙は食道括約筋の機能を弱め、胃酸の逆流を助長します。喫煙者は非喫煙者に比べてバレット食道の発症リスクが高くなるため、禁煙が推奨されます。
バレット食道は、高齢者に多く見られます。加齢に伴い、食道括約筋の機能が低下し、胃酸の逆流が起こりやすくなります。
バレット食道自体は、症状を感じにくいことが多いですが、胃酸が逆流することによって逆流性食道炎の症状が現れます。以下の症状が見られることがあります。
胃酸が食道に逆流することで、胸焼けが発生します。特に食後や横になると症状が悪化することがあります。胸焼けはバレット食道の前兆として現れることがあります。
胃酸の逆流が続くと、吐き気を感じることがあります。これが慢性化すると、食欲が低下し、体重減少を引き起こすこともあります。
食道に炎症が生じると、嚥下困難が現れることがあります。食物が食道をスムーズに通過できない場合、異物感や詰まり感を感じることがあります。
胃酸が食道を逆流し、喉に達すると、喉の違和感や咳を引き起こすことがあります。特に夜間に咳がひどくなることがあります。
バレット食道が進行すると、食道の一部に圧迫感や痛みを感じることがあります。食物を飲み込んだり、横になったりすると、痛みが増すことがあります。
バレット食道は、通常、次の検査によって診断されます。
内視鏡検査では、食道の内壁を直接観察できます。食道の粘膜が胃の粘膜に似た組織に変化している場合、バレット食道が疑われます。内視鏡を使って、病変の状態を確認することができます。
内視鏡検査で異常が発見された場合、生検を行って、組織の細胞を採取し、がんの前兆であるかどうかを確認します。バレット食道では、異常細胞が見られることがあります。
胃酸の逆流がどれくらい頻繁に起こっているかを測定するため、食道pHモニタリングが行われます。この検査により、逆流性食道炎の重症度を評価することができます。
バリウムを飲んで行うX線検査では、食道の形状や異常を確認できます。バレット食道により、食道の形状に変化が生じることがあります。