虚血性腸炎は、大腸の血流が何らかの原因で一時的に不足し、大腸の一部に炎症や壊死が生じる病気です。特に高齢者に多く見られますが、生活習慣や体質により若年層でも発症することがあります。

虚血性腸炎は突然の腹痛や血便を伴うことが特徴で、症状が軽度な場合は自然に治癒することもありますが、重症例では大腸穿孔などの合併症を引き起こす可能性もあります。迅速な診断と治療が重要です。

虚血性腸炎は急性型が多く、突然発症するケースが一般的です。以下のような症状が見られた場合、すぐに医療機関を受診することをおすすめします。

主な症状

1. 腹痛
   特に左下腹部の激しい痛みが特徴的です。食後に痛みが増すことがあります。
2. 下痢
   痛みを伴う水様性の下痢が見られることがあります。
3. 血便
   鮮血や血液が混ざった便が出る場合があります。

重症例の症状

• 持続的な激しい腹痛
• 発熱
• 嘔吐
• 腹部の腫れや圧痛

これらの症状が現れた場合、大腸穿孔などの合併症が疑われるため、緊急の対応が必要です。

虚血性腸炎は、腸管に血液を供給する動脈の血流が低下することで発症します。以下の要因が関係しているとされています。

血流の障害

動脈硬化や血栓が血管を狭くし、血流が妨げられることで発症します。特に高齢者でリスクが高いです。

腸内圧の増加

便秘や過剰ないきみによる腸内圧の上昇が、大腸の血流を一時的に遮断する原因となる場合があります。

その他の要因

• 低血圧
• 脱水症状
• 一部の薬剤（利尿薬、降圧薬、避妊薬など）
• 過剰な運動やストレス

虚血性腸炎は生活習慣や全身状態とも密接に関連しており、複数の要因が複雑に絡み合って発症します。

虚血性腸炎の診断には、症状の評価と以下の検査を組み合わせて行います。

血液検査

炎症の指標である白血球数やCRP値を測定します。また、貧血や脱水の有無も確認します。

便検査

感染性の腸炎との鑑別のため、便中の細菌やウイルスの検査を行います。

画像検査（CT検査）

大腸の壁の肥厚や炎症の範囲を確認するため、腹部CT検査を行います。虚血性腸炎では典型的な所見が見られることが多いです。

大腸内視鏡検査

大腸内視鏡を用いて直接観察し、炎症や壊死の範囲を確認します。必要に応じて、病変部の組織を採取して検査を行います。