大腸脂肪腫（だいちょうしぼうしゅ）は、大腸に発生する良性の腫瘍の一種で、腫瘍の中に脂肪組織が含まれています。脂肪腫は通常、腸の内壁にできる腫瘍であり、特に大腸で見られることが多いですが、他の部位にも発生する可能性があります。大腸脂肪腫は良性であるため、悪性化することはほとんどありませんが、発症部位によっては症状が現れることがあります。

大腸脂肪腫は通常、初期段階では無症状であることが多く、発見が遅れることがあります。腫瘍が大きくなり、腸内に圧迫を与えるようになると、いくつかの症状が現れることがあります。これらの症状は腫瘍の大きさや位置に応じて異なるため、注意が必要です。

• 腹痛や不快感
  大腸脂肪腫が腸内に圧力をかけることで、腹部に不快感や軽度の痛みを感じることがあります。特に腫瘍が大きくなると、この症状が顕著になることがあります。
• 便通異常（下痢や便秘）
  脂肪腫が腸の動きを妨げることで、便通に変化が生じることがあります。下痢や便秘など、腸内の通過障害が原因で便通が不規則になることがあります。
• 血便
  腫瘍が腸の内壁に接触して出血を引き起こすことがあります。血便が見られる場合、大腸脂肪腫を疑うことがあります。
• 体重減少
  腸内の腫瘍によって食欲不振や消化不良が引き起こされ、体重減少が見られることがあります。

これらの症状が現れた場合、大腸脂肪腫を含むさまざまな疾患が考えられますので、早期の医療機関での検査が推奨されます。

大腸脂肪腫の正確な原因は不明ですが、いくつかの要因が関与していると考えられています。

1. 遺伝的要因

大腸脂肪腫の発生には遺伝的な要素が関与している可能性があります。家族内に腫瘍やポリープを多く持つ人がいる場合、発症のリスクが高くなることがあります。特に、多発性脂肪腫を持つ家系では、遺伝的要因が強く働くことがあります。

2. 加齢

年齢を重ねることで、大腸内の脂肪組織が増加し、脂肪腫が発生するリスクが高まることがあります。高齢者に多く見られる疾患であるため、定期的な健康診断が推奨されます。

3. 腸内の炎症

慢性的な腸の炎症が大腸脂肪腫を引き起こす可能性があるとの研究もあります。例えば、クローン病や潰瘍性大腸炎といった炎症性腸疾患の患者において、大腸脂肪腫の発生が報告されています。

大腸脂肪腫は、定期的な検査や症状に基づく診断で見つかることが一般的です。診断には以下の方法が用いられます。

内視鏡検査（大腸カメラ）

内視鏡検査は、大腸内を直接観察するための主要な手段です。カメラ付きのチューブを肛門から挿入し、腸内を詳しく見ることができます。大腸脂肪腫は内視鏡で確認でき、腫瘍の位置や大きさ、形状を調べることができます。

CTスキャンやMRI

CTスキャンやMRIは、腸の内部や周囲の組織を画像として撮影し、腫瘍の状態を評価するために使用されます。これにより、大腸脂肪腫の正確な位置や他の組織への影響を確認することができます。

生検

内視鏡で腫瘍が確認された場合、その組織を採取して病理検査を行うことがあります。生検によって、大腸脂肪腫が良性か悪性かを判断することができます。