胃がん
胃がん
胃がんは、胃の内壁にできる悪性腫瘍で、進行すると他の臓器に転移することがあります。日本では、胃がんは長年にわたって発症率が高いがんの一つとして知られており、早期発見と早期治療が重要です。胃がんの原因には生活習慣や遺伝的な要因が関連しており、食生活や喫煙、飲酒などがリスク因子とされています。
胃がんは、初期段階では症状がほとんど現れないため、定期的な健康診断や胃カメラ(内視鏡)による検査が重要です。胃がんが進行する前に発見し、適切な治療を行うことで、予後が大きく改善する可能性があります。
胃がんの症状は初期段階ではあまり現れませんが、病気が進行するにつれて次第に症状が現れます。主な症状として以下が挙げられます。
胃痛
食後や空腹時に胃部の痛みを感じることがあります。痛みの程度は軽いものから強いものまで様々で、消化不良や胃もたれと似た症状が現れることもあります。
食欲不振
胃がんの進行により、食欲が減少し、食事が進まなくなることがあります。特に、食事中に満腹感を感じることが多く、食事をすること自体が苦痛になることもあります。
体重減少
食欲が減退し、栄養摂取が不十分になることにより、急激に体重が減少することがあります。
吐き気や嘔吐
胃がんが進行すると、胃の出口が閉塞して食物が通りにくくなり、吐き気や嘔吐を引き起こすことがあります。
血便や黒い便
胃がんが出血を引き起こすと、血便や黒い便が現れることがあります。これらは消化管からの出血を示す重要な兆候です。
腹部膨満感(ふくらみ)
胃の腫瘍が大きくなると、腹部に膨満感や張りを感じることがあります。腫瘍が腸や他の臓器に浸潤すると、さらに不快感が強くなります。
これらの症状は、胃がんに特有のものではなく、他の胃腸疾患にも見られるため、症状が長期間続く場合は早期に医師の診断を受けることが重要です。
胃がんの原因は明確に解明されていない部分もありますが、いくつかのリスク因子が関連していることが分かっています。
ヘリコバクター・ピロリは、胃の中に生息する細菌で、胃の炎症や潰瘍を引き起こします。長期間感染が続くと、胃の粘膜に慢性的な炎症が生じ、胃がんのリスクを高めます。ピロリ菌感染が胃がんの主な原因の一つとして知られており、治療によりリスクを低減することが可能です。
塩分を多く含む食品や、燻製食品、発がん物質を含む加工肉などの摂取が胃がんのリスクを高めることが分かっています。逆に、野菜や果物を多く含むバランスの取れた食事が予防に効果的です。
タバコを吸うことが胃がんのリスク因子であることは広く認識されています。タバコに含まれる有害物質が胃の粘膜を傷つけ、がんの発症を促進する可能性があります。
アルコールも胃がんの発症に関連しており、過剰な飲酒が胃の粘膜を傷つけ、がんのリスクを増加させることが分かっています。
胃がんには遺伝的な要因も関与しており、家族に胃がんの患者がいる場合、発症リスクが高まることがあります。特に、遺伝的な変異が関与していることが示唆されています。
胃がんは通常、高齢者に多く見られます。また、男性に比べて女性の発症率は低いものの、近年では女性の患者も増加しています。
胃がんを早期に発見するためには、定期的な検査が非常に重要です。以下の方法で胃がんの診断が行われます。
胃カメラ(内視鏡)を使用して、胃の内側を直接観察する検査です。がんの兆候が見つかる場合、その場で生検を行い、がんの有無を確認することができます。
バリウムを飲んで行うX線検査です。胃の形態や異常を検出することができ、胃がんの疑いがある場合に用いられます。
CTスキャンは、胃がんが進行している場合や転移が疑われる場合に使用されます。がんの広がりや転移の有無を確認するために役立ちます。
胃がんが進行している場合、腹部エコーで胃壁やリンパ節の腫れを確認することができます。
血液検査では、胃がん特有の腫瘍マーカー(例:CEAやCA19-9)が高値を示すことがありますが、確定診断には他の検査が必要です。