アニサキス症
アニサキス症
アニサキス症は、アニサキスという寄生虫が原因で起こる胃腸の疾患です。主に生魚や未調理の魚介類を食べることによって感染し、激しい腹痛や嘔吐を引き起こします。アニサキスは消化管に侵入して炎症を引き起こすため、早期の診断と適切な治療が必要です。アニサキス症は、近年、食文化の変化により、特に生食文化が浸透している地域で増加しています。
アニサキス症の原因は、アニサキスという寄生虫です。この寄生虫は、海水魚や深海魚に寄生しており、特にイカやサバ、アジなどの魚介類に多く見られます。アニサキスは魚の内臓や筋肉に寄生し、これらの魚を食べることで人間に感染します。生食や未調理の魚介類が感染源となることが多く、加熱調理を行わないことで感染リスクが高まります。
アニサキスの卵は、海に放出され、これが魚介類に取り込まれ、最終的にアニサキスが成長します。これを食べた人間の胃や腸でアニサキスが寄生し、痛みを引き起こすことがあります。
アニサキス症の主な症状は、感染後数時間以内に発症します。感染後、胃や腸の中でアニサキスが移動したり、寄生したりすることで炎症が引き起こされ、激しい腹痛が現れます。症状には以下のようなものがあります。
急激な腹痛
アニサキスが胃や腸に寄生することで、強い腹痛が突然現れます。痛みはしばしば激しく、胃の上部や腸の部位に集中します。痛みは数時間続くことがあります。
吐き気や嘔吐
腹痛とともに、吐き気や嘔吐が起こることもあります。これは胃の中でアニサキスが動くことで、消化不良や炎症が引き起こされるためです。
発熱
アニサキスによる感染が進行すると、軽度の発熱が見られることもあります。体温が上がることで、体が感染に反応していることが示唆されます。
便秘や下痢
胃や腸に炎症が及ぶことにより、便秘や下痢など、消化不良を伴う症状が現れることもあります。
症状がひどくなると、アニサキスが胃壁や腸壁に侵入して、潰瘍や出血を引き起こすこともあります。このような場合には、急速な治療が必要です。
アニサキス症の診断は、症状や食事歴をもとに行われます。特に、生魚や未調理の魚介類を食べた後に腹痛が発生した場合には、アニサキス症が疑われます。診断方法には以下のものがあります。
内視鏡検査
内視鏡を使って胃や腸を直接観察することで、アニサキスの存在を確認することができます。胃内に寄生しているアニサキスが確認されれば、診断が確定します。
血液検査
血液検査で、アニサキスに感染したことによる炎症反応やアレルギー反応を確認することができます。アニサキスに対する特異的な抗体が検出されることもあります。
超音波検査
腹部の超音波検査を行うことで、アニサキスが胃や腸に寄生しているか、またその影響を受けているかを確認することができます。