機能性ディスペプシアは、胃の不快感や痛み、膨満感、吐き気などを伴う消化器の症状が長期間続く疾患です。胃の内臓に異常が見られないにもかかわらず、消化不良や不快な症状が発生するため、「胃腸の不調」や「消化不良症候群」とも呼ばれます。通常、内視鏡検査などで胃の病変が発見されないことが特徴です。

この病気の特徴は、胃の働きや消化機能には異常がなく、診断がつくまでに時間がかかることです。しかし、症状が続くことにより、生活の質が低下することがあります。そのため、早期に適切な治療を行うことが重要です。

機能性ディスペプシアの正確な原因はまだ完全には解明されていませんが、いくつかの要因が絡み合って発症すると考えられています。主な原因として以下のようなものがあります。

1. 胃の運動機能の異常 胃の運動機能が正常でない場合、消化のスムーズさが損なわれ、胃に食べ物が長時間とどまることになります。この状態が膨満感や胃もたれを引き起こすことがあります。

2. 胃酸の分泌過多 胃酸が過剰に分泌されると、胃の粘膜を刺激して痛みや不快感を引き起こすことがあります。特に食後に症状が悪化することが一般的です。

3. 精神的なストレス ストレスは胃の機能に大きな影響を与えます。ストレスが原因で自律神経が乱れ、胃の働きが悪くなることがあります。精神的な緊張が消化不良を引き起こすこともあります。

4. 胃の神経系の異常 胃の神経系に異常があると、食べ物の消化が正常に行われないことがあります。このような神経系の乱れが機能性ディスペプシアの症状を引き起こすことがあります。

機能性ディスペプシアの症状は、胃の不快感や痛み、消化不良に関するものが多く、以下のような症状が現れます。

1. 胃の不快感 胃の上部に鈍い痛みや重苦しさを感じることがあります。特に食後に症状が悪化することが多いです。

2. 膨満感 胃が膨らんでいるように感じる膨満感が続くことがあります。この症状は、食事後に特に強く感じられることがあります。

3. 吐き気 消化不良が続くことにより、吐き気を感じることがあります。特に食事をすると症状が悪化することがあります。

4. 食欲不振 胃の不快感が続くことで、食欲が減退することがあります。食べてもすぐに気持ちが悪くなることがあります。

5. げっぷやガス 食後に頻繁にげっぷをしたり、ガスが溜まっている感覚を感じることがあります。

機能性ディスペプシアの診断には、症状の聞き取りに加えて、さまざまな検査が行われます。これにより他の疾患が原因でないかを確認します。

胃カメラ（内視鏡検査）

胃の状態を確認するために内視鏡検査が行われます。胃の炎症や潰瘍、腫瘍などの異常がないかをチェックします。

腹部エコー

超音波検査で腹部の臓器を確認します。消化器系に異常がないかを調べます。

胃酸分泌テスト

胃酸の分泌量や逆流の有無を調べるためのテストが行われます。胃酸過多の問題を確認します。

血液検査

消化器疾患以外の疾患を排除するために、血液検査が行われることもあります。

胃排出能テスト

胃の運動機能を調べ、消化が遅れているかを確認します。