乳がん
乳がん
乳がんは、乳房に発生する悪性腫瘍で、女性に最も多く見られるがんの一つです。乳がんは、乳腺にある細胞が異常に増殖して腫瘍を形成することで発症します。早期発見と治療が重要であり、定期的な検査を受けることが予防や早期治療につながります。
乳がんにはいくつかの種類があり、それぞれ特徴や治療法が異なります。以下は代表的な乳がんの種類です。
非浸潤性乳管癌は、乳管内に発生するがんで、がん細胞が乳管の壁を越えて外に広がっていない状態です。早期に発見されれば、治療によって完全に治すことができます。
浸潤性乳管癌は、乳管を越えて乳房の他の組織に浸潤しているがんです。乳がんの中で最も一般的で、全体の約70〜80%を占めます。進行が速く、早期に発見し、適切な治療を行うことが重要です。
浸潤性小葉癌は、乳房の小葉(乳腺の組織)から発生するがんです。浸潤性乳管癌よりも発見が遅れやすいタイプで、進行が比較的遅いことが特徴です。
トリプルネガティブ乳がんは、ホルモン受容体やHER2受容体が陰性の乳がんです。予後が悪いとされ、治療法が限られていますが、化学療法が行われることが多いです。
HER2陽性乳がんは、HER2受容体が過剰に発現している乳がんです。特に進行が速いとされ、ターゲット療法が有効です。
乳がんの原因は明確には解明されていませんが、いくつかのリスク要因が関与していることが知られています。
乳がんは女性に多く見られるがんであり、男性に比べて圧倒的に発症率が高いです。これは女性ホルモン(エストロゲン)の影響が関与していると考えられています。
乳がんは年齢が上がるほど発症するリスクが高くなります。特に50歳以上での発症が多く、年齢が上がるごとにリスクが増加します。
家族に乳がんを発症した人がいる場合、リスクが高くなることがあります。BRCA1やBRCA2といった遺伝子の異常が乳がんの発症に関与していることが知られています。
長期間にわたってホルモン療法を受けている場合、特に閉経後にホルモン療法を受けることで乳がんのリスクが増加する可能性があります。
アルコールの摂取や喫煙は乳がんのリスクを高める要因とされています。生活習慣の改善が予防に繋がります。
乳がんは初期には症状が現れにくいことが多いため、定期的な検診が重要です。進行すると以下のような症状が現れることがあります。
乳がんの最も一般的な症状は、乳房にしこりができることです。しこりが触診で確認できる場合があります。
乳頭から血液や膿のような分泌物が出ることがあります。この症状は乳がんの兆候の一つです。
乳房の形やサイズが急に変化することがあります。特に片方の乳房に異常が現れた場合は注意が必要です。
乳がんが進行すると、乳房の皮膚に赤みや腫れ、引きつりが見られることがあります。
乳がんによって乳房に痛みを感じることがある場合がありますが、必ずしも痛みがあるわけではありません。
乳がんの早期発見には定期的な検査が重要です。以下の検査が乳がんの診断に用いられます。
マンモグラフィーは乳房をX線で撮影する検査で、乳がんの早期発見に非常に有効です。特に40歳以上の女性には定期的なマンモグラフィーの検査が推奨されています。
乳がんが疑われる場合に超音波検査が行われます。特に若い女性の乳房は密度が高く、マンモグラフィーだけでは検出が難しいことがあるため、併用することが多いです。
乳房にしこりや異常が見つかった場合、細胞を採取して顕微鏡で確認する生検が行われます。これにより、腫瘍が良性か悪性かを判別できます。
MRI検査は、マンモグラフィーや超音波検査では見逃されがちな小さな腫瘍を検出するために使用されることがあります。また、がんの広がりを調べるためにも利用されます。